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グループホームの開き方——「許可」ではなく「指定」で決まる

障害者グループホーム(共同生活援助)を開設するために必要なのは、営業の許可ではなく、都道府県知事等による「指定」である。障害者総合支援法第36条第1項に基づき、指定は障害福祉サービスの種類及び事業所ごとに行う。指定を受けて初めて、事業者は介護給付費・訓練等給付費の支給対象になる。厚生労働省・こども家庭庁の指定ガイドライン(令和8年6月)は、事前相談を指定の3〜5か月前と位置づけており、指定日は多くの自治体で毎月1日付けである。

「許可」ではなく「指定」とは何か

本稿で扱う共同生活援助(障害者グループホーム)は、高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは別の制度である。

障害者総合支援法第29条第1項は、支給決定障害者等が「都道府県知事が指定する障害福祉サービス事業を行う者」から障害福祉サービスを受けたときに、市町村が介護給付費又は訓練等給付費を支給すると定める。第36条第1項は、この指定を「障害福祉サービスの種類及び障害福祉サービス事業を行う事業所…ごとに行う」ものと定めており、法人単位ではなく事業所単位・サービス単位の資格であることを示す。

同条第3項は、申請者が都道府県の条例で定める者でないとき、従業者の知識・技能や人員が条例の基準を満たさないとき、設備及び運営に関する基準に従って適正な事業運営ができないと認められるときを、指定をしてはならない場合として挙げる。このうち「都道府県の条例で定める者」との要件は、条文自体は主体を条例に委ねており、法人であることを直接定めていない。ただし実務上は法人であることが前提として運用されており、個人事業のままでは指定を受けられない(後述の長野県・埼玉県の実測を参照)。

逆算のカレンダー

指定ガイドラインは、新規指定までの標準的な流れを次のように示す。

| 段階 | 時期 | |---|---| | 事前相談・事前確認 | 指定の3〜5か月前 | | 市町村との意見交換(都道府県のみ) | 指定の3か月前 | | 指定申請審査 | 指定の2か月前 | | 現地審査 | 指定の1か月前 | | 指定 | ― |

標準スケジュールに対し、実際の期日は自治体ごとに異なる。大阪府(2026年7月6日更新)は指定を毎月1日付けで行い、事前協議の期限は指定日の3か月前の月末日、本申請書類は前々月20日頃まで、最終補正期限は前月10日までとする。「共同生活援助は審査に時間を要するため、事前協議の提出期限にかかわらず、早めの手続きをお願いします。」と大阪府は案内する。長野県(令和7年6月改訂版)は「事業者の指定は、毎月1日付けで行います。」としたうえで、事前相談を希望指定日のおおむね3か月半前まで、指定申請を前々月16日までと定める。埼玉県(2026年7月1日掲載)は「事業開始の4か月前を目途に担当職員との事前協議を完了してください。」とし、指定申請書は前々月末日までの必着、審査期間はおおむね1か月としている。

何を見られるのか

事前相談で確認される事項として、指定ガイドラインは次を列挙する。

長野県の事前相談では定款に実施予定の事業を記載しているかも確認する。埼玉県も令和8年7月から法人の登記簿提出を原則省略可能にした。定款・登記簿とも法人が備える書類であり、いずれも法人であることを前提にした確認・運用である。

確認の相手についてガイドラインは、「指定希望者が委託等をしているコンサルティング会社や代理者等ではなく、必要に応じて本人確認を行い、必ず指定希望者の法人の代表者、事業所の管理者やサービス管理責任者等…に対して行うこと。」と定める。現地審査では、設備要件の遵守状況、改修工事の完了、消防署の指導による設備設置の完了、必要な設備・備品の有無、記録の雛形や掲示物・出退勤管理等運営基準の整備状況を確認する。不備が多い書類として、運営規程、従業者の勤務体制・勤務形態、管理者やサービス管理責任者の経歴書が挙げられている。

ガイドラインは謳い文句にも注意を促す。「特段の知識等がなくとも事業所の運営は可能であり、高収益が実現できる」等の謳い文句で安易な開設を他者に勧める不適切な行為を把握した場合は、厚生労働省・こども家庭庁及び他の指定権者への情報提供が望ましいとしている。事前相談の段階でも、「高収益や高利回りを謳ったフランチャイズの加盟募集やコンサルタントの提案等により、福祉の経験がない又は利益最優先で支援体制が整っていないとはっきりとわかるもの」には必要な助言を行うことが望ましいとしている。

指定は取り直しがある

指定は一度取得すれば終わりではない。第41条第1項は「第二十九条第一項の指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設の指定は、六年ごとにそれらの更新を受けなければ、その期間の経過によって、それらの効力を失う。」と定めており、6年ごとに更新が要る。

令和6年4月(2024年4月)からは意見申出制度も始まっている。市町村が通知を求めるサービスで指定申請があった場合、都道府県は関係市町村長に通知し、市町村の意見を踏まえて必要な条件を付すことができる。条件に反した事業者には、勧告や指定取消しも行いうる。共同生活援助は令和9年4月(2027年4月)から総量規制の対象サービスにも加わることが決まっている。総量規制の仕組みと地域差は別稿で扱った。

指定の可否を最終的に判断するのは、所管の都道府県・指定都市・中核市等の行政である。大阪府・長野県・埼玉県の期日や運用は、あくまで各自治体の例であり、全国一律の基準ではない。開設地を探す際は、当サイトの市区町村ページで実数(1年で1,507か所が掲載され484か所が消えた、GHが1件もない666の市区町村)を確認できる。

→ お住まいの町の数字を調べる(市区町村別データ)

このサイトの「グループホーム」について

本サイトの数字はすべて障害のある方向けのグループホーム(共同生活援助)です。高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は含みません。名前が同じでも別の制度です。

数字の出どころ(すべて公的データ)

事業所の数と一覧=WAMNET 障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2026年3月末時点)/人口=総務省 住民基本台帳(令和7年1月1日現在)。詳しくは出典とデータについて

数え方の注記

「この1年の増減」=2025年3月末→2026年3月末の掲載数の差(開設・掲載開始・廃止を含む)。複数の町に住居を持つ事業所は代表の町で数えています。