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空き家をグループホームにできるか——建築と消防で決まる二つの線

空き家を障害者グループホームに転用できるかどうかは、建築基準法と消防法という二つの線でほぼ決まる。建築基準法では、既存住宅の用途を変更してグループホームにする場合、用途面積が200㎡以内であれば建築確認申請は不要である。ただし申請が不要でも、法令そのものを守る義務は所有者に残る。消防法はさらに重く、施設が6項ロに該当する場合は、原則としてすべての施設にスプリンクラー設備の設置が求められる。

建築のほうの線は200㎡

本稿で扱う共同生活援助(障害者グループホーム)は、高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは別の制度である。

建築基準法上、障害者グループホームは「寄宿舎等」の用途に分類され、一般の住宅と比べて防火・避難関係規定が厳しく適用される。新潟県が示す資料によれば、この扱いには例外があり、各住戸に便所、洗面所及び台所を備えた施設は、寄宿舎等ではなく共同住宅として取り扱われる。

建築確認申請が必要かどうかは、用途面積を基準に判断する。既存建築物の用途を変更する場合と新築の場合とで、次のように基準が異なる。

| | 用途面積200㎡以内 | 用途面積200㎡超え | |---|---|---| | 既存建築物の用途変更でGHとする場合 | 不要 | 必要 | | 新築(都市計画区域等内) | 必要 | 必要 | | 新築(都市計画区域等外) | 不要 | 必要 |

用途面積は、建物の一部だけでなく合計で判断する。例えば2階建ての建物で、1階に就労継続支援の事業所50㎡、2階にグループホーム90㎡を配置する場合、判断の基準になる用途面積は合計140㎡になる。

確認申請が不要な規模であっても、建築基準法そのものを遵守する義務は所有者に課されている。確認申請の要否と適法性は別の問題であり、実際の扱いは個別の建物の状況をふまえて特定行政庁が判断する。

消防のほうの線は6項ロか6項ハか

共同生活援助を行う施設は、消防法施行令別表第一において6項ロまたは6項ハのいずれかに区分される。この区分によって、設置が必要な消防用設備の基準が大きく変わる。

6項ロは、避難が困難な障がい者等を主として入所させる施設が該当する区分である。大阪府福祉部の資料(平成29年9月)によれば、障がい支援区分が4以上の者が定員の概ね8割を超えることを目安に、所轄消防機関が判断するとされている(平成26年3月14日付け消防庁予防課長通知、消防予第81号)。どちらの区分に当たるかは個別の施設の入居者構成によって決まるものであり、本稿があらかじめ決めるものではない。

6項ロに該当する場合と6項ハに該当する場合とでは、必要な設備の基準(平成27年4月1日改正以降)が次のように異なる。

**6項ロの場合**

| 設備 | 基準 | |---|---| | 自動火災報知設備 | すべての施設 | | 火災通報装置 | すべての施設(自動火災報知設備と連動して起動) | | スプリンクラー設備 | 一部を除きすべての施設 | | 消火器 | すべての施設 |

**6項ハの場合**

| 設備 | 基準 | |---|---| | 自動火災報知設備 | すべての施設 | | 火災通報装置 | 延べ面積500㎡以上 | | スプリンクラー設備 | 延べ面積6,000㎡以上(平屋建てを除く) | | 消火器 | 延べ面積150㎡以上 |

両者を比較すると、6項ロの基準は面積にかかわらず設置を求める点で6項ハより厳しいことが確認できる。とりわけスプリンクラー設備は、延べ面積275㎡以上という従来の面積要件が撤廃され、一部を除きすべての施設が対象になった。平成21年3月31日以前は、延べ面積の基準がさらに緩やかで、自動火災報知設備300㎡以上・火災通報装置500㎡以上・スプリンクラー1,000㎡以上・消火器150㎡以上だった。

スプリンクラーが免除される場合

6項ロに該当する場合でも、スプリンクラー設備の設置が免除される施設がある。消防法施行規則第12条の3が定める要件は、(1)障がい支援区分が4以上の者のうち、認定調査項目の「移乗」「移動」「危険の認識」「説明の理解」「多動・行動停止」「不安定な行動」の6項目のいずれかで「支援が必要」等に該当する者を数えること、(2)その人数が利用者全体の概ね8割以下であること、(3)施設の延べ面積が275㎡未満であること、の3つで、すべてを満たす場合にスプリンクラー設備が免除される。

3条件がそろって初めて免除の対象になる。該当者が多い施設や、延べ面積が275㎡以上の施設では、6項ロに該当する限りスプリンクラー設備の設置を避けられない。実務上、この免除の可否が最も大きな分かれ目になる。

建てた後も続く義務

建築確認や消防用設備の設置が済んだあとも、義務は続く。建築基準法では、次のいずれかに該当する建築物について、所有者等が建築物調査員等に定期的に調査させ、特定行政庁へ報告することが義務付けられている。(1)3階以上の階で用途面積が100㎡を超えるもの、または地階で用途面積が100㎡を超えるもの、(2)用途面積が全体で300㎡以上、かつ2階で100㎡以上あるもの、(3)用途面積が200㎡以上300㎡未満のもの、の3類型である。

また、障がい者グループホームが消防法上の防火対象物(6項ロ・6項ハ)に位置づけられたことに伴い、施設で使用する物品は、消防法の防炎性能基準を満たす「防炎物品」であることが必要になる。

建築確認の要否も、消防用設備の区分も、条文と通知が示す目安にすぎない。空き家の図面や設備だけを見て「この条件なら開ける」と決めることはできず、実際の扱いは特定行政庁および所轄消防機関の判断による。開設地を探すなら市区町村ページで実数を確認できる。

→ お住まいの町の数字を調べる(市区町村別データ)

このサイトの「グループホーム」について

本サイトの数字はすべて障害のある方向けのグループホーム(共同生活援助)です。高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は含みません。名前が同じでも別の制度です。

数字の出どころ(すべて公的データ)

事業所の数と一覧=WAMNET 障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2026年3月末時点)/人口=総務省 住民基本台帳(令和7年1月1日現在)。詳しくは出典とデータについて

数え方の注記

「この1年の増減」=2025年3月末→2026年3月末の掲載数の差(開設・掲載開始・廃止を含む)。複数の町に住居を持つ事業所は代表の町で数えています。