全国コラム > グループホームは申し込めば入れるのか——市町村の支給決定という関門

グループホームは申し込めば入れるのか——市町村の支給決定という関門

障害者グループホーム(共同生活援助)は、事業所に申し込めば入れるものではない。障害者総合支援法第19条第1項は、給付を受けようとする障害者又は障害児の保護者は「市町村の介護給付費等を支給する旨の決定」を受けなければならないと定めている。この支給決定が出て初めて、受給者証が交付され、事業所と契約できる。本稿が扱うのは障害のある人向けの共同生活援助であり、高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは別の制度である。

決めるのは事業所ではなく市町村である

法第19条第2項は、支給決定を「障害者又は障害児の保護者の居住地の市町村」が行うとする。居住地がないか明らかでないときは現在地の市町村である。

第3項には居住地特例と呼ばれる規定がある。障害者支援施設や介護保険施設などの特定施設に入所している人については、その施設に入る前に住んでいた市町村が支給決定を行う。施設のある市町村に負担が集中しないようにするための仕組みである。

条文が定める段は5つ

法第20条から第22条までが定める手順は、次の順に進む。

条文誰が行うか
申請第20条第1項本人又は障害児の保護者が市町村へ
調査(面接)第20条第2項市町村の職員
障害支援区分の認定第21条第1項市町村(市町村審査会の審査・判定に基づく)
サービス等利用計画案第22条第4項指定特定相談支援事業者
支給要否決定・受給者証の交付第22条第1項・第8項市町村

調査は市町村の職員が会いに来る

法第20条第2項は、市町村が「当該職員をして、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者に面接をさせ、その心身の状況、その置かれている環境その他主務省令で定める事項について調査をさせる」と定める。同項後段により、市町村はこの調査を指定一般相談支援事業者等に委託することができる。遠隔の地に住んでいる場合は、他の市町村に調査を嘱託することもできる(同条第6項)。

障害支援区分は市町村審査会が判定する

法第21条第1項は、市町村が「市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害支援区分に関する審査及び判定の結果に基づき、障害支援区分の認定を行う」と定める。市町村審査会は、必要があると認めるときは本人・家族・医師その他の関係者の意見を聴くことができる(同条第2項)。

この区分は、グループホームでは職員の配置数に直結する。指定基準省令第208条は生活支援員の必要数を区分3から区分6までの人数から計算する仕組みにしており、区分が重いほど多くの職員が必要になる。区分は本人の状態を測るものであると同時に、事業所側の体制を決める数字でもある。

サービス等利用計画案は相談支援事業所が作る

法第22条第4項は、市町村が必要と認められる場合に「指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求めるものとする」と定める。この指定特定相談支援事業者が、当サイトの市区町村ページに件数と一覧を載せている計画相談支援の事業所である。

同条第5項は、主務省令で定める場合には、この計画案に代えて主務省令で定めるサービス等利用計画案を提出できるとしている。本人や家族が自分で作る計画案(セルフプラン)の根拠がここにある。市町村は、勘案事項と計画案の両方をふまえて支給要否決定を行う(同条第6項)。

支給量と受給者証

支給決定を行う場合、市町村は「障害福祉サービスの種類ごとに月を単位として主務省令で定める期間において介護給付費等を支給する障害福祉サービスの量」すなわち支給量を定めなければならない(法第22条第7項)。そのうえで、支給量その他の事項を記載した障害福祉サービス受給者証を交付する(同条第8項)。

支給決定には有効期間があり、その期間内に限って効力を持つ(法第23条)。

「申請から何か月」とは条文に書かれていない

以上のとおり法律が定めるのは段の順序であって、所要日数ではない。第20条から第23条までに、申請から決定までの期間を定めた条文はない。実際にどれくらいかかるかは市町村ごと、また調査や審査会の開催時期によって変わる。期間の見通しは、お住まいの市町村の障害福祉担当窓口で確認するほかない。

探す順番が逆になりやすい

家族が最初に動くのは、たいてい事業所を探すところからである。しかし手続の順序では、市町村への申請と支給決定が先にあり、事業所との契約はその後に来る。空いている住居が見つかっても、支給決定がなければ利用は始まらない。

当サイトの市区町村ページには、グループホームの事業所数と一覧に加えて、計画相談支援の事業所の件数と一覧(事業所名・運営法人・電話番号)を載せている。計画相談支援は、法第22条第4項のサービス等利用計画案を作る事業所である。申請の前後で相談する先を探すときの手がかりになる。

なお当サイトは事業所の紹介やあっせんを行っていない。掲載しているのは公表データに載っている事業所の数と名前だけであり、個々の事業所の空き状況や受け入れ可否は分からない。手続の具体的な進め方は、市町村の窓口と相談支援専門員に確認していただきたい。

→ お住まいの町の数字を調べる(市区町村別データ)

このサイトの「グループホーム」について

本サイトの数字はすべて障害のある方向けのグループホーム(共同生活援助)です。高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は含みません。名前が同じでも別の制度です。

数字の出どころ(すべて公的データ)

事業所の数と一覧=WAMNET 障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2026年3月末時点)/人口=総務省 住民基本台帳(令和7年1月1日現在)。詳しくは出典とデータについて

数え方の注記

「この1年の増減」=2025年3月末→2026年3月末の掲載数の差(開設・掲載開始・廃止を含む)。複数の町に住居を持つ事業所は代表の町で数えています。