全国 > コラム > グループホームのスタッフは何人必要か——人員基準の計算のしかた
障害者グループホーム(共同生活援助)に置くべき職員の数は、指定基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)第208条が定めている。世話人は利用者の数を6で除した数以上、生活支援員は障害支援区分ごとに定められた数で除した数の合計以上、サービス管理責任者は利用者30人までは1人以上である。ただしこの「1人」は頭数ではなく常勤換算であり、実際に必要な人数はこれより多くなる。
省令第208条第1項が挙げる職種は、世話人・生活支援員・サービス管理責任者の3つである。本稿が扱うのは障害のある人向けの共同生活援助であり、高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは別の制度である。共同生活援助は省令の第16章に置かれており、基本形は「指定共同生活援助」、その特例として第5節に日中サービス支援型、第6節に外部サービス利用型がある。以下はまず基本形の数字であり、型による違いは後述する。
省令第208条第1項第1号は、世話人を「指定共同生活援助事業所ごとに、常勤換算方法で、利用者の数を六で除した数以上」と定める。利用者12人なら2.0、利用者10人なら1.67である。
同条第2項は、この「利用者の数」を前年度の平均値とし、新規に指定を受ける場合は推定数によるとしている。開設前の事業所は、見込みの利用者数で計算することになる。
生活支援員は、障害支援区分ごとに次の数を計算し、その合計以上を置く(第208条第1項第2号)。
| 障害支援区分 | 除する数 |
|---|---|
| 区分3 | 9 |
| 区分4 | 6 |
| 区分5 | 4 |
| 区分6 | 2.5 |
条文が挙げるのは区分3から区分6までであり、区分1・区分2の利用者は生活支援員の算定に入らない。重い区分ほど除する数が小さくなる、つまり必要な職員が増える構造である。
定員10人、内訳が区分3が4人・区分4が3人・区分5が2人・区分6が1人の事業所を例にとる。
合計は常勤換算で約4.5である。同じ定員10人でも、全員が区分3なら生活支援員は10÷9で1.11、全員が区分6なら10÷2.5で4.0となり、約3.6倍の差がつく。定員ではなく区分の構成で必要人数が決まる。
サービス管理責任者は、利用者30人以下なら1人以上、31人以上なら「30又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上」である(第208条第1項第3号)。1住居の定員は原則10人以下であるため、複数の住居を持つ事業所でも1人で足りる規模が多い。
省令第2条第16号は、常勤換算方法を「事業所の従業者の勤務延べ時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法」と定義する。
常勤の勤務時間を週40時間とすると、常勤換算4.5は週180時間の勤務延べ時間にあたる。週20時間のパートだけで満たすなら9人が必要になる。基準の数字は必要な勤務時間の総量であって、雇う人数ではない。
なお第208条第3項は、従業者を専ら当該事業所の職務に従事する者としつつ、「利用者の支援に支障がない場合はこの限りでない」とする兼務の余地を残している。
| 世話人 | 生活支援員 | 夜間の配置 | |
|---|---|---|---|
| 指定共同生活援助(基本形) | 6:1 | 区分別 | 省令上の義務なし |
| 日中サービス支援型 | 5:1 | 区分別 | 住居ごとに1以上 |
| 外部サービス利用型 | 6:1 | 置かない | 省令上の義務なし |
日中サービス支援型は、省令第213条の4第1項第1号で世話人を「利用者の数を五で除した数以上」とし、基本形より手厚い。さらに同条第2項は、共同生活住居ごとに、夜間及び深夜の時間帯を通じて1以上の夜間支援従事者を置くものとすると定め、この夜間支援従事者から宿直勤務を明示的に除いている。夜間に人を置く義務が省令にあるのは、この型だけである。
外部サービス利用型は、置くべき職員が世話人とサービス管理責任者だけである(第213条の14)。入浴・排せつ・食事の介護は外部に委託し、第213条の20第2項は委託先を「指定居宅介護事業者でなければならない」と定める。
省令第210条は設備を定める。共同生活住居は住宅地又はそれと同程度に家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ入所施設又は病院の敷地外になければならない。入居定員の合計は4人以上、1つの共同生活住居の定員は2人以上10人以下(既存の建物を使う場合は20人以下、都道府県知事が特に必要と認めるときは30人以下)である。ユニットの定員は2人以上10人以下、居室の定員は原則1人、居室の面積は収納設備等を除き7.43平方メートル以上と定められている。
省令第210条の7は、指定共同生活援助事業者に地域連携推進会議の開催を義務づけている。構成員は利用者及びその家族、地域住民の代表者、共同生活援助について知見を有する者、市町村の担当者等であり、テレビ電話装置等を活用して行うこともできる。おおむね1年に1回以上開催して事業の運営に係る状況を報告し、要望・助言等を聴く機会を設けること、構成員が事業所を見学する機会も年1回以上設けること、報告や要望等の記録を作成して公表することが求められる。
この規定には、令和7年3月31日までは「設けるよう努めなければならない」「公表するよう努めなければならない」と読み替える経過措置が置かれていた。経過措置の期間が終わった現在は、努力義務ではなく義務である。事業所の質に係る外部の者による評価と、その実施状況の公表を行っている場合は適用しない(第210条の7第5項)。
日中サービス支援型には、これに加えて第213条の7が指定短期入所の併設を義務づけている。
当サイトが市区町村ページに載せているのは、WAMNET「障害福祉サービス等情報公表システム」のオープンデータ(2026年3月末時点)に載っている事業所の数である。このデータには定員の列があるが全行が空欄であり、サービス種別の列は全16,022行が「共同生活援助」で、3つの型を区別できない。
したがって、ある町のグループホームが基本形なのか日中サービス支援型なのか、何人の職員が配置されているのかは、当サイトの数字からは分からない。分かるのは事業所が何か所あるかだけである。個々の事業所の体制は、事業所又は指定を行った自治体に確認する必要がある。
本サイトの数字はすべて障害のある方向けのグループホーム(共同生活援助)です。高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は含みません。名前が同じでも別の制度です。
事業所の数と一覧=WAMNET 障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2026年3月末時点)/人口=総務省 住民基本台帳(令和7年1月1日現在)。詳しくは出典とデータについて。
「この1年の増減」=2025年3月末→2026年3月末の掲載数の差(開設・掲載開始・廃止を含む)。複数の町に住居を持つ事業所は代表の町で数えています。