全国 > コラム > 親が高齢になってから探し始めると遅い理由——手続きの段と、空きの数え方
探し始めてから入居までに時間がかかる理由は2つある。1つは、支給決定に至る手続きに段があることだ。市町村への申請から、調査、市町村審査会の審査及び判定、障害支援区分の認定、支給要否決定、受給者証の交付という段を経る。もう1つは、空きが出るのを待つ時間である。共同通信の全国調査(2026年8月2日配信)では、施設利用待ちの障害者は延べ2万人を超え、30都府県が把握、17道府県は未把握または非公表だった。なお、当サイトのデータは地域ごとの設置状況を示すものであり、地域の充足度を判定するものではない。
本稿で扱う障害者グループホーム(共同生活援助)は、高齢者向けグループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは別の制度である。
障害者総合支援法第20条第1項は、支給決定の入り口を次のように定める。「支給決定を受けようとする障害者又は障害児の保護者は、主務省令で定めるところにより、市町村に申請をしなければならない。」申請を受けた市町村は、同条第2項に基づき、当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者に面接をさせ、心身の状況やその置かれている環境などについて調査を行う。この調査は、指定一般相談支援事業者などへ委託することもできる。
調査の結果は、第21条第1項が定める障害支援区分の認定に反映される。市町村審査会が行う審査及び判定の結果に基づき、市町村が区分を認定する仕組みである。次に第22条第1項に基づき、市町村は、障害支援区分、介護を行う者の状況、置かれている環境、障害福祉サービスの利用に関する意向などを勘案して、支給要否決定を行う。必要と認められる場合には、同条第4項により、指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出が求められる。支給決定に際しては、同条第7項に基づき障害福祉サービスの種類ごとに月を単位とした支給量が定められ、同条第8項に基づき障害福祉サービス受給者証が交付される。
条文が定めているのは、申請から受給者証の交付までに経る段の数であり、所要日数ではない。実際にどれだけかかるかは市町村の運用による。
支給決定を受けても、住まいの空きが無ければ入居はできない。この空き状況は、全国の公式統計としては把握されていない。
共同通信が2026年8月2日に配信した全国調査によれば、施設利用待ちの障害者は延べ2万人を超える。都道府県別では広島県1,763人・岡山県1,598人が多い。ただしこの数字を把握しているのは30都府県にとどまり、残る17道府県は未把握または非公表である。「待機者数」を網羅した全国統計は存在しない。
したがって、家族が居住地の空き状況を全国値から知ることはできない。数字で確かめる手段は、地域単位の情報に限られる。
地域単位で見ても、確認できる事業所自体が近くに無い場合がある。
当サイトが把握する障害者グループホームは、全国15,000か所(WAMNET・2026年3月末時点)である。これが載っている市区町村は1,534、全1,893市区町村のうち1件も載っていない市区町村は359(19%)にのぼる。1事業所しかない市区町村は283か所である。人口10万人あたりの事業所数を県別に見ると、上位は佐賀県21.9・鹿児島県18.0・北海道17.7、下位は東京都7.7・香川県7.8・京都府8.4で、最上位と最下位の間には約2.9倍の開きがある。
居住する市区町村に事業所が無い、または1か所しかない場合、近隣の市区町村まで含めて確認する必要が出てくる。
事業所の数自体も、思い立ってすぐに増えるものではない。
厚生労働省・こども家庭庁のガイドライン(令和8年6月)が示す新規指定のスケジュール例では、事前相談・事前確認は指定の3〜5か月前、市町村との意見交換は3か月前、指定申請審査は2か月前、現地審査は1か月前に置かれている。大阪府・長野県の実測でも、指定は毎月1日付けである。この1年間(2025年3月末→2026年3月末)、掲載は新たに1,507増え、484が消え、純増は+1,023にとどまる。
加えて、令和8年度報酬改定(令和8年2月18日)により、令和8年6月1日以降に新規指定される共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)は基本報酬が所定単位数の1000分の972となり(既存事業所は従前どおり)、2027年4月1日からは共同生活援助が総量規制の対象サービスに加わる。新規開設に関わる仕組みが動いている事実であり、詳細は別稿で扱う。
手続きの段と空きの数え方を踏まえると、制度の入り口は市町村であり、申請や調査の相談先は地域の相談支援専門員(障害福祉サービスの利用計画作成等を担う専門職)である。居住地とその近隣に事業所がいくつあるかは、当サイトの市区町村ページで確認できる。
本サイトの数字はすべて障害のある方向けのグループホーム(共同生活援助)です。高齢者向けのグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は含みません。名前が同じでも別の制度です。
事業所の数と一覧=WAMNET 障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2026年3月末時点)/人口=総務省 住民基本台帳(令和7年1月1日現在)。詳しくは出典とデータについて。
「この1年の増減」=2025年3月末→2026年3月末の掲載数の差(開設・掲載開始・廃止を含む)。複数の町に住居を持つ事業所は代表の町で数えています。