「うちの子、どうしてこんなに勉強しないんだろう…」
中学1年生の娘さんを持つあなたも、毎日のようにそんなため息をついていませんか?最初の定期テストでは頑張ったのに、その後、まるで燃え尽きたかのように机に向かわなくなった娘さんを見て、焦りや不安でいっぱいになっていることでしょう。部活動で疲れているのはわかる。でも、塾にも行っていないから、家で勉強しないと本当に心配…。親が声をかけないと全くやらない現状に、「このままでいいのだろうか?」と、夜な夜な眠れない日々を送っているかもしれません。
繰り返される「勉強しなさい」の呪縛。私の失敗体験談
私にも、まさに同じ悩みを抱える時期がありました。娘のあかりが中学に入学し、初めての定期テスト。真面目な性格のあかりは、部活から帰ってきても遅くまで頑張り、結果も上々でした。しかし、その後の変化に私は愕然としました。
テストが終わると同時に、あかりの机はまるで手つかずのジャングルのようになり、教科書はバッグの奥底に。部活から帰れば「疲れたー」とソファに倒れ込み、スマホをいじり始めるのです。最初は「少し休ませてあげよう」と思っていましたが、日が経つごとに不安は募るばかり。
「あかり、そろそろ勉強しないと間に合わなくなるわよ?」
最初は優しい声かけだったはずが、日に日に私の声はトゲを含み、最後には「勉強しなさい!」と怒鳴る毎日になりました。あかりは「わかってるよ!」と反発するか、無言で部屋にこもり、結局はほとんど勉強しないまま。たまに机に向かっても、すぐに集中力が途切れているのが見て取れました。
「もうダメかもしれない…このままでは、あかりの成績は下がる一方だ。塾に入れるべきか?でも、本人が嫌がったらどうしよう…」
私は焦りと無力感に苛まれました。なぜ私だけがこんなに苦しいんだろう?周りの子はちゃんとやっているのに、なぜうちの子は…。毎日、あかりの将来を案じては、自己嫌悪に陥る日々でした。あかりもきっと、「また言ってる…」「どうせ私なんて、やっても意味ないし…」「疲れてるのに、放っておいてほしい」と、心の中で反発していたことでしょう。
新しい問題集を買って与えても、そのページが開かれることはありませんでした。ご褒美をちらつかせても、一時的な効果しかなく、すぐに元通り。私とあかりの関係はギスギスし、家庭の中は常に重苦しい空気に包まれていました。
なぜ「声かけ」は逆効果になるのか?見えない「根っこ」の問題
私と同じように、「声かけ」を繰り返している親御さんは多いでしょう。しかし、この「声かけ」は、一時的なカンフル剤にはなっても、根本的な解決にはなりません。なぜなら、子どもの家庭学習が続かない原因は、単なる「怠け」ではなく、もっと深い「根っこ」にあるからです。
想像してみてください。喉が渇いた人に、毎回グラスに水を注いで与え続ける親と、水の探し方、井戸の掘り方、水を汲む道具の作り方を教える親、どちらが子どもの自立を促せるでしょうか?
前者は、その場は潤いますが、子どもは自分で水を探し、汲み、飲む能力は育ちません。親は常に水を注ぎ続けなければならず、子どもはいつまで経っても自立できないでしょう。
しかし、後者の親は、最初は時間がかかり、失敗もあるかもしれません。子どもは戸惑い、親も忍耐を試されます。でも、一度身につければ、子どもは一生涯、自分で渇きを癒せるようになります。親は子どもの自立を促し、いずれは「自分はできる」という自信と「学びたい」という内発的な動機を育むことができるのです。
「勉強しなさい」という声かけは、まさに前者の「水やり」。子どもが自ら「井戸を掘る」力を奪い、親からの指示がなければ動けない「学習性無力感」に陥らせてしまう危険性があるのです。
「声かけ」卒業!親の役割を”伴走者”から”応援団長”へ変える3つのステップ
では、どうすれば子どもが自ら机に向かい、自主的に学習計画を立てられるようになるのでしょうか?私が実践し、あかりの学習意欲を劇的に変えた3つのステップをご紹介します。
ステップ1:まずは「心の休憩」を。疲労と不安に寄り添う短期計画
「疲れてるのに、また言われた…」
これは、勉強しない子どもの心の声です。部活動で心身ともに疲弊している中学生にとって、親からの「勉強しなさい」は大きなプレッシャーでしかありません。まずは、子どもが抱える疲労と不安に寄り添うことが大切です。
- 休息を優先する: 疲れている日は無理に勉強させず、「今日はゆっくり休んでいいよ」と声をかけましょう。心身が満たされて初めて、学習意欲は湧いてくるものです。
- 超スモールステップで成功体験を: 「今日は漢字を5個だけ」「数学の計算問題を2問だけ」など、短時間で確実に達成できる目標を設定します。達成感を味わうことで、「自分にもできる」という自信を少しずつ取り戻させてあげましょう。
- 「見守る」姿勢を意識する: 親は口出しせず、子どもが勉強しているときはそっと見守ります。質問されたら、すぐに答えを教えるのではなく、「どうすればわかるかな?」「教科書のどこに書いてあるかな?」とヒントを与え、自分で考える機会を与えましょう。
ステップ2:”自分ごと”にする!自主学習計画を「共に創る」中期計画
子どもが自ら「井戸を掘る」力を育むためには、自分で考え、自分で決める経験が不可欠です。親は「指示する人」ではなく、「共に考えるパートナー」に役割を変えましょう。
- 学習計画を「娘自身」に立てさせる: 「次のテストに向けて、どんな勉強をしたい?」「いつ、何を、どれくらいやるのが、あかりにとって一番効率的だと思う?」と問いかけ、娘自身に学習計画を立てさせます。最初は戸惑うかもしれませんが、口出しせず、根気強く見守りましょう。
- 「契約」で合意形成を図る: 娘が立てた計画に対し、親は「それは無理がないかな?」「この時間なら部活に影響しない?」などとアドバイスを与え、最終的に親子で合意形成を図ります。計画は紙に書き出し、見える場所に貼っておくと効果的です。
- 勉強以外の「好き」を尊重する: 趣味や友達との時間も、中学生にとっては大切な成長の糧です。「勉強ばかり」では、心が疲弊してしまいます。バランスの取れた生活をサポートすることで、心にゆとりが生まれ、結果的に学習への意欲にもつながります。
- 学習の「意味」を一緒に探る: 「なぜ勉強するのか?」という問いは、内発的動機に繋がります。「将来、どんな大人になりたい?」「興味のあることは何?」といった会話を通じて、学習が将来とどう繋がるのかを一緒に考えてみましょう。
ステップ3:努力と成長を「承認」する。一生モノの学びを育む長期計画
子どもが自律的に学ぶ力を育むには、親の「承認」が何よりも大切です。結果だけでなく、努力のプロセスを具体的に褒めることで、自己肯定感を高め、次への意欲へと繋がります。
- プロセスと努力を具体的に褒める: 「テストの点数が上がったね!」だけでなく、「計画通りに毎日机に向かえたのが素晴らしいね」「難しい問題にも諦めずに取り組んだ努力がすごいよ」など、具体的な行動や努力を承認しましょう。
- 失敗を恐れず挑戦できる環境: 失敗は学びのチャンスです。「間違えても大丈夫だよ」「次はどうしたらいいか、一緒に考えてみよう」と伝え、安心して挑戦できる環境を提供しましょう。
- メタ認知能力を育む: 「今日の勉強はどうだった?」「うまくいったこと、改善したいことはある?」と問いかけ、自分の学習状況を客観的に振り返り、改善する力を養います。これが、自律学習の核となります。
FAQ:よくある質問
Q1:本当に「勉強しなさい」と言わなくても大丈夫でしょうか?
A1:最初は不安に感じるかもしれませんが、はい、大丈夫です。むしろ、言わないことで子どもは「自分で考えなければ」という意識が芽生えます。親は「見守る」姿勢に徹し、焦らず子どもの変化を待ちましょう。
Q2:全く勉強しない日が続いたらどうすればいいですか?
A2:まずは、子どもの心身の状態を確認してください。過度な疲労やストレスがある場合は、休息を優先させましょう。そして、なぜ勉強したくないのか、子どもの気持ちに耳を傾ける時間を作ることが大切です。無理強いはせず、小さな目標から再スタートを促してください。
Q3:学習計画を立てても、その通りに実行できません。
A3:計画通りにいかないのはよくあることです。完璧を目指すのではなく、まずは「計画を立てる」という行動自体を褒めましょう。そして、「なぜうまくいかなかったのか」を一緒に振り返り、次の計画に活かすことが重要です。計画の修正も大切な学びです。
成績よりも大切な、一生モノの「学ぶ力」を今こそ
中学生の家庭学習は、単に成績を上げることだけが目的ではありません。この時期に「自分で考え、自分で行動し、自分で解決する」という自律的な学びの姿勢を身につけることは、将来、社会に出てからも役立つ一生モノの財産になります。
親が不安を手放し、子どもを信じて見守る勇気を持つこと。そして、伴走者として、時には応援団長として、子どもの成長を支えること。それが、子どもが自ら学びたくなる「土壌」を育み、未来を切り開く力を与える、唯一無二の道なのです。今日からあなたも、「声かけ」の呪縛から解放され、お子さんの「自主性」という名の花を咲かせてみませんか?
