親子で「考える力」を育む！ピグマリオン家庭学習で不安を自信に変えた軌跡

「ねぇ、〇〇ちゃんのママ、最近『ピグマリオン』って言ってたわよ」「うちの子、もうひらがな書けるようになったって…」

夕食を終え、疲れてソファに沈み込む私（ミサト、30代後半）に、夫がスマホを見ながら投げかける言葉が、いつも胸の奥を締め付けました。共働きで毎日が慌ただしく過ぎていく中で、3歳になる息子、ハルトの教育にどこまで手をかけられているのか、常に自問自答していました。

巷には幼児教育の情報が溢れかえっています。モンテッソーリ、七田式、公文…どれも魅力的で、どれを選べばいいのか分からない。焦れば焦るほど、何もできない自分に苛立ち、「このままでウチの子の将来は大丈夫なんだろうか…」という漠然とした不安が、まるで重い鎖のように心を縛り付けました。

ドリル地獄と親の無力感：「また今日も怒鳴っちゃった…」

最初は、手軽に始められる市販のドリルや通信教材に手を出しました。カラフルなイラストに惹かれ、息子も最初は興味津々。しかし、それは長くは続きませんでした。

「ほら、ここ、〇〇だよ」「なんでこんな簡単なのが分からないの！」

気づけば、私は「先生」になりきり、息子の間違いを指摘し、正解を押し付けていました。息子の小さな眉間にはシワが寄り、目は虚ろ。「つまらない…」と呟く声を聞くたびに、私の心は深くえぐられました。「また今日も怒鳴っちゃった。私って本当にダメな母親だ…」と、自己嫌悪の嵐に飲み込まれる日々。教材はあっという間に山積みになり、お金と時間だけでなく、親子の笑顔まで失っていくようでした。

「どうして私だけがこんなにうまくいかないんだろう…」「みんなはもっと上手にできているのに…」と、夜な夜な一人で涙を流すこともありました。息子が私の顔色を伺うようになるのを見て、「このままではいけない」と強く感じたのです。

最後の希望「ピグマリオン」？しかし、再び襲う「親が教える」不安

そんな絶望の淵で、偶然目にしたのが「ピグマリオン家庭学習」という言葉でした。「知識を詰め込むのではなく、本物の思考力を育む」という理念に、私は最後の希望を見出しました。しかし、同時に大きな不安が押し寄せました。「また親が教えるの？私にそんな専門的なことができるの？」「もし、また息子が『つまらない』と言い出したら…」過去の失敗体験が、私の足をすくませました。

まるで、レシピを丸暗記しようとして失敗した料理人が、今度は「食材の特性から理解しろ」と言われているような感覚でした。難しいに決まっている。そう決めつけて、一歩を踏み出せずにいました。

「羅針盤」を手に入れた親子：思考の土壌を耕す喜び

それでも、「このままでは後悔する」という思いが勝り、私は意を決してピグマリオンの教材を取り寄せました。

教材を広げてみると、そこにあったのは驚くほどシンプルで、しかし奥深い世界でした。点描写、数と量、図形…どれもが「答え」を教えるのではなく、「考えるプロセス」を大切にするものばかり。私は、自分がこれまで「羅針盤」ではなく、「迷路の地図」ばかり与えようとしていたことに気づかされました。

最初のうちは、やはり戸惑いもありました。息子がなかなか理解できず、私が焦りそうになることも。しかし、教材のガイドには「完璧を目指さなくていい」「子どものペースを尊重して」とありました。私は「先生」ではなく、「一緒に考えるパートナー」として、息子の隣に座ることにしました。

「これ、どうなってるんだろうね？」「〇〇くんだったら、どう思う？」

問いかけを変えると、息子の目の輝きが変わりました。最初は黙っていた息子が、やがて「こうじゃない？」「ここが違う！」と、自分の言葉で考えを表現し始めたのです。

ある日、点描写の問題で、息子が複雑な図形を完成させた時、彼は満面の笑みで私を見上げ、「できたよ！ママ！」と叫びました。その時の息子の誇らしげな顔、そして私自身の達成感は、これまでのどんなドリル学習でも味わえなかったものでした。それは、知識の種を蒔くのではなく、「思考の土壌を耕す」というピグマリオンの理念を肌で感じた瞬間でした。