小学3年生の息子が、Z会の教材を開くたびにため息をつく姿を見るのは、親として本当に胸が締め付けられる思いでした。最初は「良質な教材だから、きっと息子の力になるはず」と期待に胸を膨らませていたんです。週末に教材が届くたびに「今度こそ、楽しく取り組んでくれるかな」と淡い希望を抱き、私も隣に座って一緒にページをめくりました。
ところが、息子は算数の文章問題や図形問題で、ぴたりと手が止まってしまいます。何度「どこがわからないの?」と聞いても、返ってくるのは小さな首を振る仕草か、沈黙だけ。「質問してごらん、大丈夫だよ」と優しく促しても、結局は私があれこれと解説しないと一歩も進まない。塾に通わせても、内気な性格が災いして、わからないことを質問できないまま時間だけが過ぎていきました。
「このままでは、せっかくのZ会が無駄になるだけじゃないか…」
夜中に一人、キッチンの隅で冷たいコーヒーを飲みながら、私は深い絶望感に襲われました。良質な教材であることは間違いない。でも、うちの子の今のレベルには、あまりにもハードルが高すぎるのではないか。息子の自信を削ぐばかりで、このままでは算数そのものを嫌いになってしまうのではないかという、拭い去れない不安が胸を締め付けました。
「なぜ私だけが、こんなにも出口の見えないトンネルをさまよっているのだろう…」
教材費も、それに費やす私の時間も、そして何より息子の貴重な学習時間も、すべてが泡と消えていくような感覚。自己嫌悪の波が押し寄せ、「もっと早く気づいてあげればよかった」という後悔が、喉の奥にずっと引っかかっているようでした。息子はますます口数が減り、教材を前にすると露骨に嫌そうな顔をするようになりました。その顔を見るたびに、「もうダメかもしれない…」と、私の心も折れそうになるのです。
そんなある日、ふと気づいたんです。息子に必要なのは、いきなり高い山に登るための道具ではなく、まずは足元を固め、一歩一歩着実に進めるような「優しい道案内」なのではないかと。Z会のような応用力や思考力を問う教材も素晴らしい。しかし、その前に、基礎の基礎から「わかった!」「できた!」という成功体験を積み重ね、自信を育むステップが、今の息子には何よりも重要だと。
私たちは、一度立ち止まることを決意しました。Z会を一旦お休みし、息子が「ここならできる!」と心から思える、もっと基礎的で、スモールステップで進める教材を探し始めたのです。それは、まるで霧が晴れていくような、新しい学習の道のりへの第一歩でした。
この決断が、息子が再び算数に興味を持ち、自分の力で問題を解く喜びを感じるきっかけとなることを、私は心から願っています。同じように「うちの子には合わないのかも…」と悩む親御さんへ。無理に「良い」とされるものに固執する必要はありません。お子さんの「今」に寄り添い、本当に必要な「基礎」を丁寧に育むことこそが、未来の大きな学びに繋がるはずです。お子さんの笑顔と自信を取り戻すために、今こそ、新しい選択肢に目を向けてみませんか?
